2025年5月27日火曜日

devil's advocate.

宿題やったの!?

"あーもう今やろうと思っていたのにその一言でやる気なくしたわ。もう無理。やらないわー。やろうと思ってたのに"

こんなやり取りが小さな頃度々ありました。

宿題をやったかどうかの確認をせまる親に対し、タチの悪い理不尽な言葉で切り返す僕。

だが最もタチの悪い事、それは僕のこの理不尽な切り返しではなく、この僕の切り返した言葉が"真実である"と言う事実である。

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人間と言うのは時として不思議な衝動に駆られるもので、普段絶対に実行しないであろう行動を、時、稀にしてしまう

突然の部屋の掃除。

忘れたフリをしていた得意じゃない人への連絡。

いつか行こうと思っていた近所に出来た飲食店への訪問。

そして冒頭にも書きましたが、 まあなんとかなるだろう。とギリギリまで放置した宿題。

等々...

例を挙げればきりがないほどに、我々は実に様々な"普段面倒でやらないこと" に日々囲まれて生きている。

そして驚く事に、上記に記した通りこの"普段面倒でやらないこと"を突然に自発的にやろう!と言う衝動が1年のうち数回訪れたりする。
だが、そんな時は決まって"誰かの一言"により意気消沈させられてしまったりするのだ。

不思議だ。これもいわば宇宙の摂理とでも言うのであろうか。

遡る事今から約14年前。

僕はある決断をしようとしていた。
東日本大震災の影響で僕は"無職"になっていた。

このままではいかん。そんな日々を悶々と過ごしている中、僕はある事に夢中になる。

それは"フリカケ"を作る事だった。
なぜか?理由は今でもわからない。なぜか当時の僕は、それをする必要があったのだ。

しかも様々な種類のフリカケを作るのではなくド定番の"カツオブシ"これ一択のフリカケを呪われた様に作り続けていたのである。

そんな不気味なルーティンに苛まれ続けていたある日。ふとこう思った。

これ、いける。
"フリカケ屋" やろう

僕のフリカケに対する向き合いかたは常人の域を越え、寝ても覚めても"カツオブシ"の事が頭から離れなくなっていた。その原因不明の呪いのおかげで、やがて僕の作るフリカケは自画自賛だがとてつもなく美味しくなっていた。いや本当に、ご飯にかけて食す度に脳が揺れる程だ。


そしてある時、このフリカケを誰かに食べてもらおう。そう思い立ち近所に住んでいた同級生のMにその旨を告げると二つ返事で "今から食いにいくわ"
そんな返答をもらい彼を待つ。

Mは友人の中でもトップクラスに頭が悪く(僕も含めまあみんなバカばかりなのだが) 所謂一般的な試験(5教科)で言えばTotal100点以上を取った事がなかったり、カップヤキソバの湯切りを最近まで知らず、湯切らずに薄いソース味のラーメンとして食していたり、視力2.0だったにも関わらず、なぜかメガネに憧れ父親のメガネ(ちゃんと度入り)を勝手に拝借し、かけ続けたところしっかりと視力が悪くなり最近レーシック手術を受けたりと、まあとにかく、奇行が絶えないバカな男なのだ。
(そもそも成人男性がフリカケ食いに来ないか?の問いに対し二つ返事で"今から行く"この返答自体がバカまるだしではないだろうか)

そんな彼が僕のフリカケを食べて開口一番こう言った。

"うめえ。店やれよ!こーた!"



言われてしまった。
そう。 僕が言う前に、言われてしまったのだ。
しかも、この男、Mに。
僕の心の中で僕が僕へ

"あーあもういいわ。せっかくやろうと思ってたのに。やる気なくしたわ"

そう告げた。

幼い頃からの恐ろしい病。

仮名として命名 "先天性天の邪鬼症候群"

ようやく重い腰を上げ、ある決断を実行しようとした時、誰かの先手の一言で意気消沈してしまうと言うこの奇病。

そのせいで僕は"フリカケ屋さん"をオープンさせる事を諦めた。

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そして時は流れて今、2025年現在
僕は細々とカフェを経営させていただいている。

そして思う。



"まじでフリカケ屋やんなくてよかったぁあああっぶねぇえええ!!!!!つーかフリカケ屋ってなんだよおいおい!!!多分客こねぇえええ!!!!"



と。



幼い頃からの悩みの種でもあった 
"先天性天の邪鬼症候群" 

これに助けられる事もあるものだ。と痛感しながら生きている今日この頃。

皆様にも多かれ少なかれ、そんな天の邪鬼な成分が含まれていたりするのではないでしょうか?
もしもそんな自分に嫌気がさすことがあった時、
時としてその天の邪鬼な自分が正しい道筋を導き出すこともあるのかもしれない。

そう思ってくれたら幸いです。



いつにも増してなに書いてんのかよくわからなくなってきたのでこの辺で。

それではみなさん
さよーなら。