2025年6月26日木曜日

知ってただろ? なぜここにいるのか

6月、来月は7月。と、言うことは、夏が来ると言う事だ。

何を今さら、そんな当たり前の事を。一体全体何が言いたいのだ。
特になにか言いたいわけではないのだが、何を隠そう僕は"夏"が大好きなのである。

夏に関わるもの、その全てが大好きなのだ

海 スイカ 祭り

ありとあらゆる"夏"を感じる成分の虜なのだが今年はどんな夏になるのだろうか



ある夏の日、僕は山形県内の豊かな夏景色に浸りながら、国道を車で走行していた。

しばらく走っていると、"尾花沢スイカ" とダンボールに手書きで書かれた手作りの看板が目に止まる。その脇には軽トラックに山積みになった大量の美味しそうなスイカが売られていた。 
瑞々しく美味しそうなスイカの魅力に負けた僕は、そのまま車を停車し、スイカを物色させてもらうことにした。 すると、一台のセダンが背後に停車した。
セダンから徐におりてきた男もまた、やはり同じくスイカを物色しはじめた。

するとその男。

"え!こーた?こーたか!?なにしてんの!?こんなとこでー!"

同級生kにたまたま遭遇したのである。

僕は
"おぉ!なんだなんだ!kじゃないかー!………"

と、適当な会話を続け、お互いにスイカを購入し別れた。

僕はこう言った思わぬところでの再会が非常に苦手なのだ。 なぜか? それは、どこで遭遇したにせよKに限らずほぼ全員必ず 

"こんなところで何してんだよー!?"

そんな問いがくるのだ。
皆様も経験はないだろうか?

今回の場合 軽トラックにスイカを積んだスイカ売りの目の前で遭遇。

て、事は こんなところでなにしてんだよー!?
この答えは

"スイカを買おうとしている"
この一択である事は明白であろう。

ある時はバッティングセンターで

こんなところでなにしてんだよー!?

"バッティングをしているのだ"

またある時はお花見会場で

こんなところでなにしてんだよー!?

"お花見をしています"

またまたある時は歯医者で

こんなところでなにしてんだよー!?

"治療してんだよアホが"



と、様々な場面で 明らかに答えが明確な状態での
"こんなところでなにしてんだよ"ウイルスが蔓延しているのだ。
だから僕は、誰かに思わぬところで遭遇したとしても "こんなところでなにしてんだよー?" 間違ってもこの問いかけだけはしない事を心掛けている。いや、これは心掛けているレベルではない。決意しているのだ。 もはやこれは、決意表明なのだ。

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ある夏の夜。僕は異国の寺院にいた。
普段とは違う環境にも少し慣れ始め、食べ物や飲み物、そう言ったモノへの警戒心が緩まり始めた頃、僕は"何か"にあたった。
何を食べても吐く、下す。それを繰り返し衰弱した僕は、もはやこれまでか。と、大袈裟なまでのマイナス思考に支配され酩酊状態に陥る、重すぎる身体をフラフラと引き摺りながらなんとか辿り着いた不思議な青い大きな寺院。入口付近の土産物屋の脇で横になっていると袈裟のようなモノに身を包んだ、目の大きなゴボウの様に細長い男性が僕にほにゃらほにゃらと問いかけてくる。(全くもって理解できそうにない言語であった)
男性の所作を見ているとどうやら寺院で休みなさい。そんな言葉をかけてくれている様であった。

案内されたのは狭く埃っぽい土壁のほこらの様な部屋で、その部屋の隅にはぽつねんとベッドの様な寝具が置かれていた。どうやらここで休めとの事らしい。
衰弱しきっていた僕は、考える事も面倒でそのまま休ませてもらうことにした。

大きなヤモリに身体を這われながら、その不快感で目が覚めると、外は明るく朝になっていた。

部屋から出ると、法衣に身を包んだ昨日とは別の男性が箒で掃除をしているところだった。
そして、振り返った彼は僕に

"おはようございます。目が覚めましたか"

え? 突然の日本語での問いに驚きながら彼を直視してみると肌の色や凹凸の少ない愛嬌のあるフェイス。身長も小柄でなにやら日本人の様であった。

"本当にありがとうございました。少し体力が戻った気がします。ところで、もしかして日本人ですか?"

"ハハハ、そうなんですよ。実は僕はほにゃらほにゃら...."

彼はどうやら、日本ではエリート商社マンとしてバリバリと働き、出世街道まっしぐらを華麗に突き進んでいた。だが、ある些細な事をきっかけにグラリとその道から蹴落とされてしまう。それを皮切りに、仕事やプライベートでも様々な問題が山積みになっていった。その結果、彼は疲れ憔悴してしまった。
そして今、遠く離れた異国の地で僧侶となり人生をやり直しているとの事であった。

彼との心地の良い日本語での会話に、どこか懐かしさの様なモノを感じ始めた頃、僕は彼に対し、一抹の違和感の様なモノを感じ始めた。

"見覚えがあるのだ"

異国で日本人にあまり遭遇していなかった為の日本人としての"見覚え"であるのか。そう思っていたのだが、イヤ違う。 僕は彼に、いつか、どこかで会っているはずなのだ。

なぜなら僕は

"彼にかなり見覚えがあるのだ"

あの、どこかでお会いした事はありませんか?

薄く微笑んだ彼は
"わたしも先程からなにやら見覚えのある方だなと思っていたんですよ。失礼ですがご出身はどちらですか?"

僕が出身地や年齢を告げると彼は驚き

"なんと!わたしの出身地と同じだ!しかも年齢まで!"

僕は

"ぇえ!?僕の名前はたかはしこうたと言いますがあなたの名前を教えていただけますか?"



"えええ!!こーた!?俺はH.Yだよ!!!わかる!?"



"ええぇええ!!えぇいちわぁいいいぃ!!??"

そして僕は言った

"こんなところでなにしてんのぉおーーー!?"



………………………………………………

と、架空のストーリーを拵えて思うのだが
この位の遭遇エピソードでもない限り、僕は"こんなところでなにしてんの?" この台詞は言ってはいけないのでは? その位、特別な言葉なのではないのだろうか? そう思っている。

そんな事を1日中夢想していたら、今日と言う日が終わりそうである。僕は1日、何をやっていたのだろうか。

こんな自堕落な1日でもまあ、良いじゃないか。
なぜなら、これから"夏"がはじまるのだから。

さあさあ夏がはじまりますよ。
皆様にとって、それはそれは楽しい夏でありますように

ではでは。さよーならー