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G.B.K。BAND. The JumBle Box →https://youtube.com/channel/UCiqDmFuYSm26YqTzUrc3L4Q


※当店はFacebookページ.その他全てのSNSを一切使用しておりません。公式なものはこちらのホームページのみですのでどうぞ誤解のないようお願い致します。

営業日について♦


定休日 月、火


8月21日(水) 所用の為、お休みをいただきます。宜しくお願い致します。 8月25日(日) 貸し切りの為14時~の通常営業となります。宜しくお願い致します。

2024年7月24日水曜日

This is a confession for every xxxxx ...

瞼の裏側に、チラチラ と、優しく明るい点滅が映し出されます。そこに見える"ソレ"はまるで、古くなり誰からも相手にされなくなってしまった映写機から写し出される映像。そんな雰囲気だろうか。
そんな事をぼんやり思考していると "ジリジリジリ" 不快とも取れる音色が、耳の入り口から頭蓋骨の奥底まで高らかに響きはじめた。

この映像、音。 ソレは"日の出"を意味していた。

やれやれまいった。今日もまた

"眠れなかった"

……………………………………………………………………

ふと気がつくともう、遥か昔から僕は、"睡眠"に対し苦手意識を持つようになってしまった。
そして、その状況に慣れ、自分の中の"スタンダード"な状態になってしまっている。
所謂 "不眠症" と言うヤツだ。

その中でも僕の症状は恐らく、わりと重い方なのではないだろうか。非常に酷な重労働をしてしまった日、身体が鉛の様に重く今日はイヤでも...
そんな1日であったとしても、不眠症、と言う"ヤツ"は厄介な存在で、目を閉じ仰向けになっても、俯せになっても、横を向いても、呼吸を整えても、はたまたトリッキーに四肢を大きく広げ"大の字"を決め込んでも.....
願い止まないあの"瞬間"にはなかなか辿り着く事が出来ない。睡眠にネガティブな感情を抱いた事のある全ての者が目指すユートピア。それはそう。"気絶" の地である。

そして今、この季節。ユートピアが最も遠ざかる時期。酷暑極まる"夏"

睡眠への不満を除けば言うことなし、とても好感のもてるエネルギッシュなこの季節。
願わくばこのナイーブな悩み、払拭し、そして最大限に夏を楽しみたい。その願いを胸に夏を迎え入れ、そして願い叶わぬまま"また来年"と夏を送り出す。
こうして問題は未解決のまま長い長い時間が過ぎ、気がつけばまた今年もお迎えの時がやってきた。

そんな中、1人の救世主が現れる。

同級生である彼は、僕の様な堅物を面白がり、そして受け入れてくれる数少ない友人の1人である。
お店にも稀に来店してくれる彼は、陰気で皮肉屋、"昼行灯"の様な僕とは正反対の様。
明朗快活でいつも明るく、"不健康" そう言ったモノからは非常に遠ざかった存在に僕には見えていた。

ある日、何気なく彼にその話をする。
すると、彼は楽しそうな表情でこう答える。

ああそうだったの? 実は俺もなんだよ。これ、参ったよな。大体 2.3時間寝れたら御の字だよ。酷い時には一睡も出来ない、なんて事も珍しくないんだよな。

僕は安堵していた。こんなにも楽しそうに見える彼、こんなにも元気いっぱいな彼。
そんな人間が、僕と同じ悩みをもっていたのだ。
しかも彼は"塗装屋"と呼ばれる職人であり、かなり強固な肉体労働を課せられる立場である。
そして家庭を持ち、その生活を支える立場でもあった。

長い年月をかけ、何をやっても全く好転しない状況に嫌気ばかりがさし、ネガティブな感情をズルズルと引摺りながらどこかで"眠り"を願う日々。

そんな僕にとって

睡眠に対しナイーブな日々を送るにはかなり過酷な環境の中、こんなにも楽しそうに、そして明るく健やかに過ごしている彼を知る。

それは今までで、一番の"治療"になった。

そして、不眠告白から数日後、何気ない流れで彼の家に一泊する事になる。

不眠仲間だと知った今、
彼は今まで以上に輝き頼もしく見える。どうせ眠れない二人だ。朝までどうしようもない話でもしようじゃないか。そして寝不足のどんよりとした頭を慰めひきつった右手にカップを持ち、張り付いた作り笑いを浮かべコーヒーでも飲もう。
その朝に迎える憂鬱はきっと、いつも自分が迎えいれている味気のないモノクロームの様なものではなく、コントラストの強いカラフルでエキゾチックな刺激的なモノになるだろう。 
なぜなら翌朝の僕には、同士がいるのだから。



時刻は深夜12時を回った。不眠症の人間ならばここからが本番と言ったところだ。
さあ、まずはどんな話をしようか。



ちらりと彼に目を向け、僕は驚く。



眠っている。



その後彼は Am 8時 00分 ジャストまで 1度も目を覚ますことはなかった。

しっかりと8時間睡眠をとっていた彼。

ノンレム睡眠(深い安らかな睡眠)としか思えない程弛緩しきった表情を8時間絶えず継続させていた彼。

"もう食べられないよ"

漫画でしか存在しないはずのお決まりの寝言を、見事現世に持ち込んだ彼。



君は


健康です


モノクロームが視界を占領していく中、彼はカラフルなハーフパンツに着替え朝からステーキを頬張っていた。





"いや、なんだよコイツ"





さあさあ今日も僕は



"眠れないだろう"



………………………………………………………………



とても素晴らしく楽しい日々、夏がやって来ました。
ほんの少しの憂鬱を抱えて、楽しんで過ごしましょう。



GooD BYE.

2024年6月25日火曜日

I think now

6月です、早くも30℃程の気候が連日続いておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか。
僕が小さな頃は30℃程に到達した日には皆動揺

今日は暑い...。珍しく仙台も30℃だってさ。
夏の最盛期に両親を含めたその他大勢の人達が交わすそんな会話を、ぼんやりと朧気に記憶しています。 

そんな仙台も、近年では30℃なんて朝めし前。
これからどんどん燃え上がらせてもらいます。
6月中からそんなハイなテンションの様。
今年もかなりの猛暑になりそうで、対策は万全に、有意義な夏にしたいものです。



先日、夏よりも先に、心燃え上がらせた(しまった)出来事がありました。
それはなにか。 

その出来事 それは

"UFOキャッチャー" これです。

その日僕は、何気なく立ち寄った大きな書店で書物を物色していた。
すると、

こうた?よう、久しぶり、元気?偶然だねー。

同級生に遭遇。
幼なじみでもある彼は、久しぶりだと言う事実を微塵も感じさせない見事なファーストコンタクトを僕に仕掛ける。

幼い頃の面影が皆無なスマートな彼は、今や自分で会社をお越し社長に君臨している。所謂"やり手"の男に成長していた。

彼の屈託のない無邪気な笑顔と優しい声色は、休日に知人に遭遇しようものなら、相手が誰であろうが逃げ出す逃走癖のある僕の心を見事弛緩させ、足を止める事に成功した。

久しぶりだね。元気だよ。本当に偶然だね。

その後軽い世間話を交わしていると彼からこんな提案が。

実は子供が欲しがっているぬいぐるみがあるんだけどね、すぐそこのゲームセンターなんだけどなかなか取ってあげれなくてねー。あれどうやって取るんだろう?こうた。得意?良かったらちょっと行ってみない?

自分の娘達もぬいぐるみには目が無い事もあり僕は二つ返事でその提案に賛成した。

いいね。うちの娘達も例に漏れずぬいぐるみが大好きでね。せっかくだしちょっと行ってみようか。

.............................

思い返せばあの時、
やめておけばよかったのだ。
その後あんなことになるなんて、僕たちはまだ知らなかったんだ。

.............................

数キロ離れた場所に、そのゲームセンターはあった。
到着するや否や僕たちは目的のUFOキャッチャーへと向かう。

あった。これこれ。さてまずはやってみようかな。

友人はすぐさまコインを入れ、僕には名前も不明であった不気味な特大のウサギ(おパンちゅウサギと言うらしい。ファンの方、ごめん)へとアームを動かした。

アームはウサギの胴体をガッチリと掴むが、浮かぶと同時にこちらを嘲笑うかの様にふわりと落下する。

あー、やっぱりだめだ。もっかい!

友人が再度トライしているのを横目に、その迎え側にあるUFOキャッチャーマシーンをぼんやりと眺める僕。
そのマシーンは、中央に二本伸びた突っ張り棒の様な支柱に商品が置かれている(どうやらその柱の隙間からそれを落とすらしい)独特のスタイルのUFOキャッチャーだった。

気がつくと僕は、そこに置かれた"ソレ"から目が離せなくなってしまっていた。
さて、"ソレ"とはなんなのか。
今はなかなか見かける事が出来なくなってしまったあの伝説のスナック菓子。明治"カール"だったのだ。

旧友に再会したかの様な、そんな照れくささもある軽い高揚感と同時に、もう2度と会えないはずの"何か"を懐かしむ様なノスタルジックな哀愁感。そんな複雑でいて刹那的な感情に包まれた僕は、気がつくと100円玉をコイン投入口に流し込んでいた。



ウィーン。無機質でいて無感情なアームがふわふわとカールの上空へと到着し、そこからゆっくりとカールへと下降。カールの袋をガッチリと掴んだアームは上空へと戻る。が、その途中でカールを放してしまう。そこから柱の隙間へ落ちればカールゲットとなるのだがやはりそんなに簡単に行かないのがUFOキャッチャーである、カールはその支柱二本にしっかりと支えられる形で少しずれた位置で再度落ち着く。

まあそうだよな。一度で取れる事はないさ。

背後では不気味なピンクうさぎ(ファンの方ごめん)を顎に軽く手を置く知的なポーズを決め、学者さながらの表情でポジションを四方八方の角度から調べる彼の姿。

まだ彼も闘っている。よしもう一度だ。
両替機で両替も済ませ、いざ再チャレンジ。

ウィーン。無機質でいて無感情なアームが動く。
...
一度目と全く同じ流れで終了。

背後を見る

ディーン・フジオカの様な知的な表情は崩さないが、未だウサギを捕らえるのに頭を抱え、四方八方からベストポジションを探る彼がいる

再度チャレンジ

ウィーン。無機質でいて無感情なアームが動く。
はいやっぱまた同じ。

そして背後を見る
はいやっぱり

ウサギにがっつくCEO、ディーンが頭を抱えている。

再度チャレンジ

ウィーン............

...........................



約1時間後...



カタン

無機質なアームから離されたカールが、遂に出口へと落下した。

僕は歓喜していた。と、同時に、激しい後悔の念と微量の悪寒に苛まれた。
なぜか



この時僕は



"2万円弱使っていたのだ"

カールに。 


そして
彼は
ディーンは.....(ちなみに全く似ていません)

やっぱまだ背後にいた。

それは
未だにあの気味の悪いウサギに依存していると言う事実を意味していた。

幼ない頃には野球やサッカー、山、川遊び。
"チルドレン" そう呼ばれる時期の全ての者達が興味を持つであろう娯楽を一通り楽しんでいた僕らは、その集合体の中であまり目立った能力を発揮出来なかった種族だった。(特に僕は惨憺たる様でした) 
それゆえに当時の僕らは えへ、えへ、と自信無き者がもつ独特の笑い方とヒキツッタ笑顔を露出させる、そんな表情の持ち主でもあった。

だが、そんな彼も今では大人になり、会社をも経営するまでに成長。そして自信に満ちた成功者の"表情"を勝ち取っていた。



だが、今の彼の表情は
チルドレンであった頃の "彼" にタイムリープしていた。

なんて事だ
UFOキャッチャー。それは時として大人になり、努力の末に成功を勝ち取った人間をも難なく幼少期の劣等時代へと戻す、そんな悪夢の様なマシーンだとでも言うのだろうか。



あーこうた取れたんだねー。やっべぇ俺。全然だめだわぁーとりあえずもうお金無いから水道水飲みに行くねぇーん えへ えへ。



...いやもはや発言もわけわからん。なんだこいつ。

................................................................................

そしてその帰り...



僕は最後の悪夢を見た
(ちなみにディーンは3万使って取れませんでしたバカ)


帰りに寄ったイオン





カール 売ってた。











僕は何を思えばよかったのだろう

.........................。



6月も終盤、間もなく。夏がやってきます。心燃え上がらせて、いざ。



GOOD BYE.

2024年5月21日火曜日

Get over it

こんにちは。
5月です。GWも終わりホッとしている今日この頃ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。
今年は最大日数10連休の方もいらっしゃった様でそれはそれはとても有意義な日々を過ごされた方も多いのでは

連休中の皆様とお話ししていると、僕もやはりどこかに行かなくては。一日くらい、どこか遠くへ ..。
なんて、そんなプレッシャーからか気がつくと僕はバイクのキーに手をかけていました。

僕が乗っているバイクはとても古くてなかなかの気分屋さん。エンジンをかけるのにも一苦労する時もある。だがそれがいい。
キュルキュル、キュル、、、キュルルボン!
ブルン、ブルン、ブルルルルルル ようやくかかったエンジンからは地鳴りにも近い重低音が鳴り響く。

そこへ近所の爺さんが通りかかり僕に声をかける

今日はお店お休みかい?

そうです。岡野さん(仮名)もGWはどこかへ?

いやいや俺達くらいになると毎日がGWみたいなもんだからなぁ。わざわざどこに行くこともないのさ。そこのコンビニに行ったり来たりで終わりだなぁ。ハハハハハ。あんたはまず、楽しんできなさい。

ハハハ。そうですか。まあ、それ位が一番贅沢な過ごし方かもしれませんね。さて、行ってきます。

何が贅沢なものか。そんな過ごし方絶対にしてはならん。俺は行くんだ。どこか、遠くへ..。
少しの皮肉を混ぜた他愛ない挨拶を交わしいざ出発。

さてコイツとどこに行こう。
まあいい。行き先ならコイツに任せよう。走り出せば僕とバイクはシンクロしはじめ行き先は自ずと決まるのだ。

ブルルルルルルン!
風を切り裂きながらバイクは坂道を登りはじめる。
そう。これだ。この感触。そろそろ僕とバイクがシンクロし始める頃か。

ブル、、ル、ル、ル、る、る.........る................プスン。

え?

まだこの旅はスタートから数百メートルの進行のみ。
だが、なぜかエンジンが停止してしまった。
停止した位置は不幸中の幸いで前方にはコンビニの駐
車場が。

やれやれ、まあ仕方がない。ノロノロとバイクを押しながらコンビニの駐車場へと車体をいれる。
ガチャガチャとバイクをいじくり回しているところへ

お?どうした?
と誰かが声をかける。

先ほどの爺さん、岡野だ。そうか。こいつのGWの拠点はここのコンビニだったのか。いやなところを見られてしまった。まあいい。切り替えよう。

気を取り直し悲壮感等微塵も見せず爽やかに返答する。

いやー、しばらく乗ってなかったからかな?
まあよくある事なんですよ。ご心配なく!

おぉ~そうかぁ。大きなバイクだものなぁ。とにかく気をつけなさい。

少し笑っていた様に見えたのは気のせいか?
まあいい。気を取り直し修復に取り掛かる。

しばらくするとソフトクリームを美味しそうにレロレロと舐め回しながらまたも参上する爺さんが。
そうもちろん。

岡野だ。

どうだぁー?直ったかぁーん?レロレロ。

全く修復の見込みのないバイクと岡野のじっとりとした目線に耐えきれなくなった僕は一度退散を余儀なくされる。

いや、ちょっと難しいかも。まあでも幸いお店まですぐだし下り坂なのでどうにか戻ってみます。

おーーそうかぁ。気をつけてなぁぁぁん。レロレロレロォン。

気のせいなんかじゃない。
こいつ、心の奥底で笑っていやがる。
完全に俺のGWエンジョイ作戦を妬んでいやがるのだ。GWはじめ大型連休の度に挨拶時には必ず、今年もどこもいかずに終わりですよ。悲しいですねー。なんて、お決まりのあのセリフに妙にシンクロしていやがったのだ。本当は
"心からつまらぬ大型連休を過ごせぇええぇ"
と、呪詛にも似た思いを心の中の冷笑と共に作りあげていたに違いない。

ちくしょう。なんだあいつ。こんな状況下でソフトクリームを食いながらじとーっと見つめやがって。
いや、食うのはまあいい。だが小学校低学年くらいまでしか許されないはずのレロレロしながら食していくスタイルは本当にやめてくれ!!!

半ば被害妄想も相まって、もともとおちょこ程のサイズしかない僕の心の器はさらに縮小し、ピリピリとした狂乱の心のままになんとか店へと戻った。

ホームへと戻った僕の精神はほぼ落ち着きを取り戻し、冷静に修復の作業へと移る事に成功した。
しばらくいじくり回していると.........

キュルキュル、キュル、、、キュルルボン!
ブルン、ブルン、ブルルルルルル!!!!!

キター!!!!!!

またもようやくかかったエンジンからは地鳴りにも近い重低音が鳴り響く。

さてコイツとどこに行こう。
まあいい。行き先ならコイツに任せよう。走り出せば僕とバイクはシンクロしはじめ行き先は自ずと決まるのだ。

ブルルルルルルン!
風を切り裂きながらバイクは坂道を登りはじめる。
そう。これだ。この感触。そろそろ僕とバイクがシンクロし始める頃か。

ブル、、ル、ル、ル、る、る.........る................プスン。

いやまたかよ。なんなん本当に。まあいい。とりあえずそこのコンビニへ....


...



いるぅうう!!!!
岡野いるぅうう!!!!!!

どうしたぁあー?またかぁーん?レロレロレロレロォオン。

いや時巻軸的にソフトクリーム少なくとも2個か3個目ぇえええ!!!
妖怪みてえな甘党のじじぃいいぃいいぃい!!!



悔しさのあまり岡野を無視しそのまま店へと戻る僕。



その後、バイクが復活することはなかった。

結局僕の旅は、店からコンビニへの2往復で終わったのである。皮肉にもその過ごし方は、にっくき爺。岡野の過ごし方とほぼ同じだった。



それ以来、僕の瞼の裏にはレロレロとソフトクリームを舐め回す老人の姿がくっきりと焼きつき、決して離れないでいる


………………………………………………………………………………………


さて、毎度ですが何を書いているんでしょうか僕は。


暖かい日々が続いております。
皆様、心地が良い、楽しい日々をお過ごしくださいね。



ではさよなら

2024年4月23日火曜日

なんでこうなるのだろう

皆様こんにちは。
寒い季節も終わり、暖かく気持ちの良い日々がやってまいりました。 春到来です。

先日の事、
唐突にひとりきりでの映画鑑賞。これをどうしても実行したい。いや、せねばならない。
そんな使命感にも似た、脅迫的な衝動に駆られた僕は"ソレ"を実行に移しました。

映画館に到着した僕は、まずは映画館と言えばこれ。炭酸飲料(もちろんサイズはL)を購入します。
目的の作品の開始時間までには10分近くの猶予があったけど、久しぶりの映画観賞に心踊っていた僕は開場したシアター内へと早々に吸い込まれていきました。

指定した席を見つけ着席。
まだ上映までには少しの余裕があるからだろうか、会場にはただ一人僕だけが存在し、大きなシアタールームの中には僕だけが鎮座する形。
なんとも形容しがたい高揚感に包まれはじめました。

上映まであと2.3分といったところで開場へ一人の男性が入って来ました。
それはそれはとても奇妙な男だったのだが、
何が奇妙だったのか。



まず第一にその男、場内に駆け足で入ってきたのである。それも、小走りでもないなかなかの力強い足取り、つまり、ほぼ全力疾走に近い形である。
大きなシアタールームと言えどシアタールームはシアタールームでしかありません(皆様がよく行く映画館のサイズを思い浮かべてください)全力疾走で入ってきた男の目の前にはあっ、と言う間にスクリーン付近の壁が迫ります。

危ない、さてどうするのだろうか?と、眺めているとその男、ガン!っとその壁を蹴り、身体をふわりと浮遊させ僕が座るシート方向へと全身を器用に反転させ着地したのだ。
一瞬キョロキョロと辺りを見回すとまたも逆サイドの壁へと走り込み同じ技?(と呼んでいいのかは不明)を繰り出します。
その後も忙しなくシートの狭い通路をタカタカタカ、と駆け抜けたりしながらようやく自分のシートの位置を見つけたのか、そこへ一列前のシートから本シートへとひょいっとジャンプし着席した。

え、なにをやっているのだこの男。もはやわけがわからなくなる僕。

運悪く(と言っていいだろう)男のシートは僕のシート1列前の左斜め前方であった。

先ほどまで高揚していた心地の良い気持ちは一瞬の夢から覚め、今はただただこの奇妙奇天烈な男の後方に座している現実に混乱ばかりが生じ、不快な気持ちだけで済めばまだ救いはあったのだが、もはや男の動きには笑い飛ばすにはあまりにも重すぎる多くの奇怪な成分が含まれており、"恐怖"にも似た感情までもが僕の中に渦巻きはじめました。

とりあえず映画だ。映画に集中しよう。
ソワソワと落ち着かなくなってしまった虚弱な心を落ち着かせようとしている僕に、遂に"その瞬間"が訪れた。

その男、斜め前方よりくるりとこちらを振り返り僕に向かってニコッと微笑みかける。

いやこれもうダメなやつ

会場内には混乱と恐怖によりもはや意志薄弱になった情けない男(オレ)
それを楽しむかのように微笑みをたやさない奇行のカリスマ(奇行者のカレ)
この二人ぼっち。
男が口を開く。もはや万事休す。 
サイコパスによる惨劇を覚悟した僕の耳に彼の言葉が空気を切り裂き届く。



"パルクールっす!気持ちいいっすよ!"





は?





その後、映画の内容が一ミリも入ってこなかったのは言うまでもあるまい。
※ついでに言うと、ポップコーンの咀嚼音をあそこまで遠慮なしに奏でる人間を拝見したのも、はじめての体験でありましたふざけるなアホ。



春です。すこーしだけ人を浮かれさせすぎてしまう短くも心地の良い日々。
皆様、節度を守り楽しく過ごしましょう。



さて、仕込もっと。
Bye.

2024年3月30日土曜日

Mr.springman。 that's me。

こんにちは。
気がつけば3月も後半。
気温も日々上昇し、遂に彼の足音が聞こえてきたのではないだろうか。

意味深なロングヘアに片側の口角をクイッとあげたニヒルな表情。
爽やかなイエローシャツにブルーのパンツ。少し高めのヒールがついたショートブーツでゆったりと歩いてくる彼。

そう、春です。
僕の脳内で春を実体化させたイメージ Mr."spring"マンです。
毎年春になると、そんな彼を想像するのです。



僕は春が好きです。
四季の中では2番目に。これと言った趣味のない根暗な僕の唯一の楽しみ"散歩"。
冷たくも長い、凍りついた季節も終わり太陽には力が戻りはじめます。動物達は目を覚まし木々や植物達も楽しく踊り始める。そんな朗らかな季節、春。
春になると、この"散歩"にも自然と身が入るのです。



いつかの春先、近所をフラフラと歩いておりました。
近所と言えどもまだまだ知らない"場所"は存在しており、様々な小道を散策します。
穏やかな陽光に、春の持つ独特な清潔感のある風景を歩いていると、そこに小さな公園が。
春の陽光に照らされたその小さな公園は、どこか希望に満ち、小さいながらにとても大きな野望を宿す少年の様な雰囲気を魅せます。
ふとその公園の前で立ち止まると、そこで遊んでいた少年達の蹴ったサッカーボールが、僕の足下へと転がってきました。

足下でストップしたボールを見つめながら僕は 
 
"こんにちはー。蹴るよー?"

と、少年達に爽やかな笑顔(のつもりです)で問いました。
まだ低学年であろう少年達は、見知らぬおじさんに少し怯んでしまったのか、直立不動でただただこちらを凝視しています。

"ははは。大丈夫かー?とにかく蹴るからねー!それ!"

と、ニヒルでかっこいい片側の口角をクイッとあげた(つもりです)表情を作りながらボールを彼等に蹴り返しました。
蹴り返されたボールをトラップした彼等は、何も言わずにスタスタと去っていきました。

やれやれ、少しクールすぎたか?
これもまた"春"が見せる一つの物語か。なんて、そんな事を思いながら帰路につきます。

帰宅すると嫁が
最近多いんだけどね、またMAILがきたから確認しておいてー。と、小学校から届いた(当時長女が小学生でした)不審者情報のMAILを僕に見せます。

"やれやれまたか?どれどれどんなヤツだ?本当に最近多いなー"なんてボソボソとつぶやきながらMAILを開く。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

×××教育委員会よりの連絡です。
×月×日  午前×時30分ごろ、×××駅南側付近の公園で少3男児3名がサッカーボールで遊戯中、誤って公園外にボールを放出。
その際にそのボールを受けた男がその3人に対し激しく強い蹴り返しでボールを返却。その後執拗にこんにちは!と挨拶を繰り返し児童がそれに対し返答がない事を確認するとニヤニヤと笑いながら無言で現場を去る。

男は30歳くらいで、背は175cm程
黒髪の長髪。黄色いシャツにブルーのズボン、踵のついたブーツを着用。

×××悪質な者ではないと思いますが念のため気をつけてお過ごしください。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

ん。

"いやこれ俺ぇええええええぇええええ!!!!!"

てか、激しく強い蹴り返しってなにぃぃいいい!!!?、こんにちは一回しか言ってねぇえええええええぇい!!!!!

そんでもってついでに、Mr.springマンも俺ぇえぇえええええ!!!!!!!

……………………………………………………………………………………

ほんの少しの善意が、身に覚えのない誤解となり真実をねじ曲げられてしまう現代。
皆様、しっかりと自分の目で、自分の考えで、真実を見極めましょう。

とにもかくにも春がやってきました。楽しく健やかに過ごしていきましょう。





さて、先月入荷のお知らせをさせていただきましたイチオシのドリッパー。
Torch.ドーナッツドリッパー。
完売してしまいました。

で、
また、入荷しました!



またも直ぐ様完売しました。
みなさま、当店でお見かけの際はどうぞお早めにご購入ください。

次回の入荷をお楽しみに。

さよーなら

2024年2月23日金曜日

That was in 19Q9

雪。
もう降らないかなーなんて。そんな希望を抱いていると容赦なく冬と言う存在は...。
自然と言うものはいつだって平等で、そして残酷ですね。

…………………………………………………………………………

"おーい!マウンテンバイク買ってもらったんだー!"

"うるっははははは!"と、独特の発声で笑う彼は、1999年の真冬の大地に力強く存在していた。

当時、マウンテンバイクなんてモノは僕らには夢のまた夢の代物で、仲の良かった友人全員が、漏れなく彼のそのモノに羨望の眼差しを送った。

"早速だけど、これ乗って松島まで行こーぜ!"

アホである。
当時我々が住んでいた北仙台学区~松島海岸までは約30キロ程の道のりで、暖かい節であれば問題ないのだがその頃2月の初旬、さらに大雪の最中であった。

だが彼は"マウンテンバイク"を手に入れたテンションをどうにも押さえきれず、上昇しきったアドレナリンヨロシク、僕らを強引に"誰も望まないサイクリング"に付き合わせたのだった。

彼以外(勿論僕も含め)の自転車は親、兄弟、もしくは姉妹のお下がりで、所謂"ママチャリ"と呼ばれる代物であった。
よって、そんなポテンシャルの低い代物では言わずもがな大雪の日のサイクリングなど絶体絶命である。

渋々と走り出した我々のテンションは、当然の如くみるみると下降していく。だが、彼のテンションは下降するどころかグングンと上昇していく一方であった。

"うるっははははは!八段変則だしタイヤも強いから全然つかれないんですけどぉオー!!!"



我々は正直、ムカついていた。
だってふつうにうざったかったから。
あと、"ははははは"の前に必ずくる"うるっ"の発声の意味がわからなかったから。

だがなぜかみな、彼の事が大好きだったのである。

なぜか

彼は心底 



"ついていなかった"のだ。

そしてその不運をエンターテインする天才でもあった。



"うるっははははは!八段変則!ギアチェンジ!!!"

その言葉を放った数秒後、彼は僕らの視界から消えた。

マウンテンバイクが持つポテンシャルを、過信しすぎたのだ。
ギアチェンジ後、勢いよく立ち漕ぎの姿勢に入った彼は、鈍く光る凍結した路面でタイヤを滑らせ、道路右脇に見えた恐ろしく長い階段をドカドカと落下していった。

納車されたマウンテンバイクは、見事初日に"廃車"となったのである。

自転車のみを大破させ、全くの無傷であった彼は、か細くなった僕らの神経を慰め、上昇していた彼のテンションとドン底にあった我々のテンションを華麗にエクスチェンジしてみせたのである



その後も彼は



死に物狂いで購入したPlayStation2(当時は入手困難でした)をバスに置き忘れ初日に紛失。

背伸びして買った、ロバートデニーロが名作"タクシードライバー"の劇中で着用していたタンカースジャケット(勿論レプリカ)を修学旅行中にロープウェイから落下させ紛失。(余談だがビックリするほど似合ってなかった)

19歳の若さでフィリピンパブの女性にハマったが、美人局であった為身ぐるみを剥がされ全てを紛失。

等々、例を出せばキリがない程の不運によるノンフィクションファンタジーを制作誕生させ、我々を退屈と言う名の日常から"エンターテインメント"の世界へと招待してくれたのである。
よって、結果的に少々のデリカシーのない発言等は気にもならなくなってしまうわけだ。

だから我々はずっと、彼の事が大好きだったのである。

……………………………………………………………………………

つい先日、本当に久しぶりに彼と顔を合わせた。

2月下旬にも関わらず、20℃近くまで気温が上昇した異質なその日。 彼は店にやってきた。



"よう!久しぶりだね。あれ?今日休みだったかな?"

お、本当に久しぶり。火曜日だからね、定休日なんだよ。 まあコーヒーくらいならあるよ

………………

"今年は本当に暖かいね。俺さ、去年スタッドレスタイヤを買ってね、ミシュランの結構イイヤツなんだけど、雪が全然降らないから勿体なかったなー。
だから今日、もうタイヤ交換してきちゃったよ。早すぎたかな?ははは。"

………………

そんな他愛もない会話を交わした後、彼はあっさりと去っていった。

大人になった彼は、洗練された顔つきになり話し方もどこか落ち着いたものになっていた。
そしてなにより、笑う際のあの独特の発声"うるっ"が消失していた。
それは僕に、とても好感のもてる印象を与えたと同時に、僅かなセンチメンタルを感じさせた。

時が立てば皆変わるものだ。 

と、少しノスタルジーを感じながらの翌日 



"今シーズン最大の大雪が降った"



見事だ。
彼は今でも

"心底ついていない男のままだったのである"

営業前、ヤケクソになりながら雪掻きをしていると



"うるっははははは!"



どこかでそんな声が聞こえた気がした。

時が立っても人は、そこまで変われないモノなのかもしれません

…………………………………………………………………



さてさて、スペシャルなコーヒー豆達が続々と入荷しております。で、更に、

個人的には最高に使いやすいドリッパー。Torchのドーナッツドリッパーも入荷しておりますので是非是非ご来店を
※ドーナッツドリッパーはホワイト。ブラック。各色揃っております。



それでは皆様、さよーなら

2024年1月4日木曜日

About is。。

2024年になったそうです。
はい、
あけましておめでとうございます。本年も何卒、宜しくお願いいたします。

年明けの瞬間、みなさまはどんな"状態"で2024年をお迎えしたでしょうか。

なぜか重要視されているあの"瞬間"
12月31日 11時59分59秒~ 1月1日 0時00分 に切り替わるあの時、我々は何をして過ごすのか。

1年間を秒換算すると31,536,000秒となるのですが、あの瞬間の1秒だけは31,536,000秒の中でもとにかく重みをもった一瞬なのだろうと、
そう感じてしまうのは、物心ついた頃から
"年明けのとき、なにしてたのー?" そんな質問をされ続けてきた気がするからである。

ちなみに僕は、パッと陽の目をみるような年明けの瞬間に立ち会えた事は一度もなく、毎年ぼんやりとなんとなく年明けを迎えてしまっている。

巷では

"仲間とワイワイ飲んでいたよ"

"活気のある神社で厳かに元朝参りをしていたよ"

"大好きなパートナーと年越しのカウントダウンイベントに参加していたんだ"

なんて、様々な"あの瞬間エピソード"が語られる中、全くそういったエピソードには疎遠だったわたくし(自分が陰気すぎるから)だが今年は、今年こそは。

"俺は楽しくあの瞬間にいたのさ"

と、誰かに"エピソードマウント"をとってみたい。と、そう思い意気込んでいたのだ。

そして2024年、年明けの"あの瞬間"
結果的に僕は一体なにをしていたのか?

それは

犬<くりまる>が腹を壊し彼のお気に入りの芝生までダッシュしていた
です。
彼がブツを落とし、苦悶の表情から爽やかな表情に変わっていく中、僕は頬を細かく痙攣させながら、2024年。スタートです。


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小さな頃、あれは小学校低学年の頃だったろうか。
お正月の初日、姉と僕とで祖父の家へ遊びに行きました。当然二人とも<お年玉>目当てでのご挨拶だったわけだが、愛想もよく何に対しても要領のいい姉は軽い挨拶と共にさらりと華麗に"お年玉"を手に入れた。
それとは裏腹に当時の僕ときたら興味のある事や欲しい物にもつい伏し目がちになってしまい毎度惨憺たる様で、

"さて、幸大もお年玉欲しいか?"

なんて、そう問われた僕は

"え、いいよ。姉ちゃんにもあげて大変だろうし僕はいらないよ"

"はっはっは。そうか?本当にいらないのか?"

"ん?いいってば。なんか悪いし"

"そうか。わかった"

"う、うん。"

僕の脳内では、その後もう一度 "いいから持っていきなさい" そんな台詞が来ることを予想していた。
そしてその時には、くねくねと遠慮しがちではあるが、ハニカミながらも最高の笑顔を作りだし

"ありがとう。それじゃいただきます"と
お年玉を受け取る段取りだったのだ。 
その後 "律儀な少年" と言う爺さんからのアセスメント的な"何か"+"現金"が手に入り、これで俺は最高の年始スタートが切れる。なんて計算していたのだが時既に遅し。
祖父からはその後、お年玉に関するワードは二度と発せられなかったのだ。

"今年も宜しくお願いします。それじゃいこうか"

姉が僕に声をかけた時、僕の中でなにかがハジケタ。





"ぅぅうおおおぉおおおぉお!じじいぃいいい!!お年玉よこせぇええぇえええぇええい!!!!"
そして俺は、爺さんに飛びかかっていったのだった。

その後の記憶はあまりないのですが、それから数年間、ジジイに会いにいけませんでした。

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なぜだろう。
用を済ませ、人の気持ちなんて知らん。と、爽やかな足取りで帰路につくくりまるの背中を見ていたらあの日の事を思い出しました。

これからの若い子達。
お年玉やお小遣い等は第一声目から素直にもらってしまいましょう。





さてさて、今年はゆっくりなスタート
1月11日<木>から営業開始となります。

改めまして本年も、Route99を宜しくお願いいたします。

高橋幸大