"宝くじ当たったらどうする?"
え、一等?俺ならどうするかなー。○億だろー!!まずは高級車買ってさー。旅行いきまくってさー...
おお!俺ならまずは家買っちゃおうかな?そしてみんなに死ぬほどうまいメシおごりまくってさーー!!
そしてそして...........
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12月。年末。
今年もまた、一年が終わろうとしております。
と、同時に、浮世離れにも程がある、そんな夢を恥じらいなく語り合う時でもあります。
語り合う内容と言えば勿論アレの事。
そう "年末ジャンボ宝くじ" について、だ。
冒頭にも記述したがこの季節には 老若問わず"男" と言う性別を持つすべてのヒューマンが同内容を恥ずかしげもなく麗々と語り合うモノなのだ。
年端も行かぬ若輩者であれば
○億円ーー??僕はねーー!!地球買っちゃう!!!
と、ハイスケールな買い物を夢想し。
少しずつ現実が見えてくる青年期の若者達は
○億円ー!?やっべーなおいおい!!とりあえず友達全員バリ島連れてって貸し切りパーティーっしょ!(パーティーの内容は不明)
んでついでにRANGE ROVER買うわ!(高ければなんでもよし) と乱暴に金をばら蒔く事を吹聴して楽しみ。
現実と言う残酷なステージド真ん中に座す 壮、中年期の紳士達は。
○億か。。
まずはローン完済だな。そして両親に世界一周旅行でもプレゼントして子供達の将来の為にしっかりと貯金か。だがそれでもまだ余裕があるから多少投資に回してもいいかな?さてさてどうしようかな? むむぅ...。
(ニヤリニヤリと恰かも本当に所有しているかの様な想像力を発揮する。
最も達の悪い時期なのがこの壮、中年期とも言えるかもしれない)
忙しなく怒涛の"人生"と言う荒波も終盤、様々なモノ、コトが過ぎ去りあとは晩年どう過ごそうか?そんな老年期のお祖父様達は
な、なな、ななな!!!ほぇぇああぁぁああ!!!
○億かぁぁ、、。おぉ、、、おぉお!!Earthじゃぁあ。。。
ワシはEarthを買うんじゃぁぁぁぁあ!!!!!
と、赤ちゃん返りを繰り出す始末。
結局、"男" この性別を持つ我々は皆、最初から最後まであまり思考は変わらず麗々と幼稚にこの世を揺蕩う存在なのかもしれません。
さて、例に漏れずわたくしもそのヒューマン達の一部である事は紛れもない事実であり、当然毎年その様な荒唐無稽なしようもない話しに参加している一人である。
いつかの年末の事、親父が突然に
"おい、今年は当たるぞ。今まで苦労かけたな。何が欲しい?"
そんな言葉をかけてきた。
何をそんなアホな。
当然そう思ったのだが、それと同時に理由はわからないのだが、その時見せた親父の鬼気迫る表情に、一抹の緊張感と不思議な信頼感を得ていたのも事実である。
親父の謎の自信は何処から来たのか?
事の発端はこうだ。
親父の友人、知人も例に漏れずこの"年末ジャンボ"と言う名のノアの方舟に乗り込むcrew達ばかりなのだが、そのうちの1人が遂に見つけてしまったのだ。
宝くじが必ず当たる"売り場"を。
その売り場は県内某所のスーパーマーケットの一角にポツねんと存在していた。
そこには、無口で愛想のない貧相なまでに痩せ細った叔父様がいる。
そして、彼から購入した宝くじは "必ず当たる" そう言われているのだった。
通常、巷で良く言われる"当たる売り場"の噂の中身には必ず "愛想の良い" "明るく朗らか" "な女性"
こんな三拍子が謳われている気がするが今回の話では全くの正反対、 "無愛想" "暗くてどんより" "ガリガリの貧相な男性" である。
だが、マスメディアが謳っている噂話など殆どがまやかしに過ぎないうえに、信憑性等どこにもない。
それに引き替え、この噂はデジタル上にフワリと浮かびあがる頼りのないモノなんかではなく、リアルな"クチコミ"と言うヤツだ。
しかも、その知人の話では そこで購入した友人が1000万円を当て、本人もなんと100万円を叩き出しているらしいのだ。
親父曰く、その話は酒の席で渾身の話術(あくまでも本人談)を使い聞き出す事に成功。
そして今回、その売り場に直接出向きジャンボを購入。 その時にリアルに感じた"売り場の叔父様"の雰囲気は当人曰くどこか神がかったモノがあり、"あぁ、これは当たったわ" そう確信したのであった。
ざっとこんな話である
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さて、当選発表当日、血走った目で新聞を見つめる親父。
ドッドッドッド…!
親父の心音がこちらにも伝わってくる気がするほど親父の表情は強張り、固まっている。
と、同時に物凄い剣幕で 自分の右手の人差し指を使い、新聞の一画をなぞり、滑らせ始める。
むぅ、、
むうぅ、、
むむぅぅ。。?
へ ....?
親父の人差し指の動きが止まり、狂おしい程強張った表情のままゆっくりとこちら側へ顔をあげる。
僕と目が合うと《つーかすっげぇ表情...》首の動きは止まりこちらを凝視して《えぇ...つーかなにこの表情すっげぇぇ.....えぇ...》こう言った。
"うわぁぁあいビbィィe!!!"
少しメカニカルな音が混ざった不思議な奇声をあげ親父は消えていった。。
《無論、 外したのだった》
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その年から毎年、年末になると僕と親父は激しく唸る心音のビートを聴くことになったのだった。
2025年現在、未だ僕らは、"当選" この2文字とは無縁のままだ……。
と、言うか実のところ僕は、クジすら買っていなかったのである。
若い頃は皆、様々な事にチャレンジし挫折、成功を繰り返す。その度に必ずセットとなるのが信じられないほどの緊張感である。
歳を取るとチャレンジとは無縁になり、緊張感とも疎遠になる。
それでも人間である以上、いくつになっても緊張感と対面する事は少なからずあり、完全に回避することは不可能である。
毎年、当選発表前の親父の強張った表情を見ていると、かつて彼が若者であった時代、その頃の蜃気楼の様なモノを見ることになる。
僕にとって実は、"当選"自体が目的なのではなく、親父の緊張感に溢れたあの様子を傍観する、それこそが真の目的なのだ。
さてさて、そろそろ当選発表。
少しずつ静かに、親父からビートが聴こえはじめました。
きっと今年も
"当たらないだろう"
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2025年。
あっと言う間の一年間でした。
僕はこの1年間。なにをしていたんだろうか。
毎年毎年、特になんの力もつけずふわふわとゆるやかに日々を過ごし気がついたらあれ?もう1年がたつのか? と、驚く始末。
こんなんで良いのか?おれ?
毎年そう思います。
だけど、とてもとても楽しかったな。
そんな気持ちは胸の中にたくさん広がっていて、すごく暖かい気持ちで"イマ"を迎えられております。
なので、まあこんなんで良かったんだろう。
そう思うことにしております。
この気持ちは、お店に来てくださった皆様のおかげであることは間違いないでしょう。
こんな僕がぼんやりと商っている我がカフェ.Route99 に来てくれた皆様、今年も本当にありがとうございました。
また来年も楽しく、僕のぼんやりに付き合っていただければ幸いです。
それでは、皆様にとって楽しく健やかな1年であった事を願っております。
来年も何卒、宜しくお願い致します。
Route 99 髙橋 幸大