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本日未明、新聞配達中の男性がヒグマに襲われて大怪我をした。数日後に、ハンターが捕獲したところ、数年前の同町で人に危害を加えたクマと同じ個体だと判明。
××町、××警をはじめとする官民一体となった適正な対応だったにもかかわらず、××庁ヒグマ対策室などには200件以上の電話が殺到した。××××知事は、○月○日の会見で、次のように苦言を呈している...
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こんにちは。
連日TVやネットニュースでは毎日のようにクマが、クマが、と大騒ぎ。皆様どうぞお気をつけてお過ごしくださいね。
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さてさて、10月も終盤。街路樹にも少しずつ赤や黄色と淡く色がつき始め秋も深まってまいりました。
暑かった気候も完全に勢いを失い、少しずつ冷え込みを感じ始める今日この頃。
そんな気候に対し、ほんの少し嫌悪感を抱いてしまっている僕とは裏腹に、暑さに対してとびきりの弱者の彼。先日まではすっかりのびあがっていた我が愛犬 "くりまる" は、みるみると元気を取り戻し、夏場にはどれだけぐいぐいっとリードを引っ張ってみても
"俺は行かない。そう。行かないと決めているんだ"
そんな鉄よりも強固な意思を感じる憂いの表情でこちらを睨みつけ、引っ張られている方向の逆方向へとギュイッと首を傾け踏ん張った姿勢で抵抗していた
のに、
最近では
"だっはー!!いきまっしょーーうっっか!!?"
と、ハイなテンションヨロシク、ぐいぐいっとリードを引っ張ってくる始末である。
先日、そんな彼と、山へと出掛けた。
その日は晴天で、気温もそこそこに温かく過ごしやすい秋晴れの1日であった。
少しだけ紅葉のはじまった森林の中は美しく、僕たちはとても気持ちの良い散歩を楽しんでいた
山の中腹辺りまで登ったところで突然、彼が
ビタッ!と背筋を伸ばし警戒したポーズで僕の前へとポジションを移す。
なんだ?どうした?
そう問いかけると彼は、僕の方を振り返り困っているようにも、少し悲しそうにも見えるなんとも刹那的な表情を僕に向けた。
それはまるで
"やれやれ、お手上げですわ。ご主人さんよぉ。だけど安心してくれ。必ずあんただけは守って見せるぜぇ"
そんな事を伝えているような、少し鬼気迫る表情にも見えた。
まさか、そうか。これは、、、
"クマ"か。。?
文頭にも書いているが、最近の世のトレンドは"クマ一色"と言っても過言ではないほど日々クマに関するエピソードを聞かぬ日はない。
それでもどこか未だ、僕の生活に置いてクマとの遭遇はSFの領域を出ず、他人事となっていたのは隠しようのない事実である。
だがしかし、可能性がゼロではない限り、"事" と言うのはいつどこで、誰に起きるのかはわからないのだ。
最悪の想像が頭の中を駆け巡る中、くりまるはズイ,ズイ。と林の奥の方へと凄まじい力を込め歩みを進め始める。
マズイ、行くなくりまる。その林の奥にいるのはきっとクマだ。彼に遭遇してしまっては命はない。ここはどうにか、退散だ
そんな言葉をかけながらリードをこちら側へと強く引っ張るがどこにそんな力が?と感じるほどの強い力で ぐいっ ぐいっ , と自らの身体を林の奥へと持っていこうとするくりまる。
ちくしょう!だめだ!!こっちへ来い!!
リードを更に力強くこちら側へ引っ張ったその瞬間、、
バチンっ!!!と跳ね上がるような音が辺りに鳴り響いた。
なんだ!?どうした!?一瞬何が起きたのかわからなかったが瞬時に現況は判明した。
そう。リードが切れてしまったのだ。
クイッとこちらを振り向いたくりまるの表情にはこんな文言が描かれていた
"へへへ、悪いな。ご主人さんよ。あんただけはここで死なせるわけには行かねえのさ!わかるだろ?大丈夫、運が良ければまた、あの世で会おうぜ!!!"
そのまま彼はタッタッタッタッタ!!!と、もの凄い勢いで林へと消えていった
クッソぉ!まずい!!なぜだ!?なぜそこまでする!? だが、彼はなにもわかっちゃいない。俺も同じ気持ちだと言うことを。
そう、おまえをここで死なせるわけには行かないのだぁ!!!
意を決した僕は、くりまるのあとを追い、死に物狂いでそのまま林へと特攻した。
無我夢中で林の中を駆けていると、少し開けたスペースにでた。
いた!くりまるだ!
なにをしている!ここは危険だ!!こっちへ来い!!!
くるり、と振り返った彼はなにかを咥えている。
なんだ?なにを咥えているんだ?
恐る恐る近づくと
ん?
"アメリカンドッグだ"
誰が捨てたのかはわからんがくりまるが咥えているアメリカンドッグとは別に、彼の足元には
4つのアメリカンドッグと未開封のツナマヨおにぎりが落ちていた。。。
勿論だが、
クマなんてどこにもいなかった。
恥ずかしさと惨めさとなんとも言えない気持ちが重なり合わさった僕は
ルンルンとした表情を浮かべた彼の口許から必要以上の力を込めアメリカンドッグを抜き去ったのであった。。。
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未だクマに関する報道が止むことはなさそうです。
本当は、彼等の居場所を奪っているのは我々です。
本当の害悪な存在なのは我々人類なのだろうなーなんて、そんなことは恐らく、たくさんの人が自覚している周知の事実ではありますが、その事実を知ったうえでもすまなかった。と言って殺されるわけにはいきません。
反省しつつも、クマへの用心を忘れずに、楽しくレジャーへお出かけしましょう。
それでは、また。