2024年10月22日火曜日

This is the true story of three men that no one knows about.

皆様こんにちは。
10月になり、肌寒くなってきました。
涼しくて過ごしやすい。そんな声も多々聞こえてきますが個人的にはすでにかなり寒く、先が思いやられる今日この頃、皆様はどのようにお過ごしでしょうか?

秋と言えばなんでしょう。

食欲の~
運動の~
読書の~

誰が言ったかこの有名な3項目があります。今年の秋、皆様はどの項目に注力する事になるのでしょうか。 
僕は毎年、ただただ好物の秋刀魚を食べ(去年は確か、夕食で10匹食べた事がありましたが、その日、なぜか亡くなった祖母の遺影が少し怪訝そうな表情に見えたのを記憶している)お腹が膨れたなら横になってだらしのない格好を決め込み読書にいそしむ(読書と言ってもどうしようもないコミックス等も含む)

そんな過ごし方です。

どうやら僕は毎年、随分と食欲と読書、この2つの項目にのみ注力しているらしい
と、なると毎年不足しているのは"運動"である。 

そうなると最終項目 "運動" これを無視することは出来ません。
多少の中古車感が否めない年齢になってきてしまった昨今の自分、先日、急遽仲間を募りある"運動"を行ってきました。
それは、

"登山" これだ。

....................................................................

とは言え素人も素人の我々。
大袈裟な登山ではなく、比較的ゆるく登れそうな山を選択せねば。そう言った理由で決定したある山、 その会場、隣県、山形に威風堂々聳える山、日本百名山の一つでもある"月山"である。

季節も相まり紅葉も見事。満場一致で決定したのであった。

さてここで、こんな僕のしようもない提案に二つ返事で賛同してくれた素敵な(暇をもて余した)クルーを紹介しておきたい(と、言っても僕を含めたったの3人だ)

まずはこの男。

広い肩幅に逞しい上腕、容姿もなかなかに男前なのだが東北訛りがひどく言葉遣いが荒いのがたまにキズ。
腕っぷしには自信ありとアウトローな男でもあるが子供には非常に優しいと言うニクい一面も持つ。口癖は"守るべきモノが見つからない"と言う意味不明な文言であり、未だ中二病を引き摺り続ける心優しき異端児。

宮城の"モラトリアムウルフ"こと

我が友人 "モラトリアム" 。

彼とは付き合いも長く、同級生である。

次いでこの男。

可もなく不可もなし。特段ビジュアルでは言うことが全く見つからない。だが、電子機器of数式の事ならおまかせください。全てをシステム、データで解決して見せましょう。一人称はあーし(わたしと言っているらしい) 宮城の"システムジャック"こと 一回り年下の後輩 "システム"

彼とはうちの店で彼がドーナツを食べる際、必ず虚空を見ながらニヤニヤとドーナツを頬張る浮世離れした表情に耐えられなくなった僕が、彼を注意したのをきっかけに親しくなる。

友人 モラトリアム
後輩 システム
そして 僕

この最強の布陣(どこがだ)で月山に挑むことになったのだ。

早朝、月山付近のとある道の駅で待ち合わせた僕ら。
その場所から即移動、そして即登頂。

の、予定であったがやはりそこは素人も素人の我々。

モラトリアムウルフが早々にこんな発言を。

モラトリアム "山はどこもいかねーしまずはしっかりメシ食わねえ!?"

システム "いいっすねぇ~ なんか穏やかな気候だし気持ちいいしなんか食いたいっすよねぇ~ データ的に考えれば間違いなく今食べておいた方が良さそうですしね。あーしも同意見ですねぇ~。"


僕 "それもそうだね!"

そんなこんなでゆったりと朝食を食べ始める我々(おままけに隣接するカフェでまだなにもしていないのにティータイムまで楽しむ始末 ..)
気がつくと正午近くになっていた...

モラトリアム  "やべぇ!さすがにもういこーぜ!?"

システム "ですねぇ。行きますかぁ。あーしもそろそろかなぁと思いますよぉ"

僕 "おう!そうだね!"

ドタバタと山へ移動し、登り始めたのはもはやお昼過ぎであった。

モラトリアム "やべーなこれ、暗くなる前に降りてこれるかな?"

僕 "まあ大丈夫じゃないかな。何時頃、日没だろうか。"

システム う~ん。"大丈夫ですよ!なんとなくこの山の地形とか標高のデータを見ればそこまで臆する事はないですよぉ。あーし、元々サッカーやってましたし一番若いので体力には自信がありますよぉ、ですから何かあってもサポートするので安心してくださいよぉ。さぁ、行きましょぉー"

僕 "よし!システムもそう言っているし四の五の言わずにさっさと登頂開始しよう!"

布陣一同 "よし!行こう!"

僕とモラトリアムはシステムを連れて来て本当に良かったと思った。

ここに来て彼の発言は、半ば守りに入った中年の中途半端な常識的思考と猜疑的思考が交わった気持ちの悪い頭の中を見事クリアなモノにしてくれた。
若者の半ば乱暴とも取れる青き衝動と言うものは時として本当に心強い武器になるものである。そう言った事を痛感し、いざ登頂開始。



天気も快晴、噂通りの美しい紅葉。素晴らしい景観を背に、僕らは快調に山頂を目指していた。

しばらく歩くと、下山してくる集団とすれ違う。

集団 "こんにちはー。今から山頂ですか?日没も早いですし時間的に厳しいかもしれませんよー!山頂は天気も変わりやすいし日没も早いですし熊にも注意しなければいけませんから無理なさらず!"

布陣一同 "はい!ご丁寧にありがとうございますー!何とか頑張って行ってみます!"

大自然を歩くと、全くの他人とも自然に会話が広がる。それもこの登山と言う行為の醍醐味だ。なんだか気持ちがいい。ズンズンと進む僕ら。

しばらくすると、今度は三人組のシニアの方々に遭遇。

3ピースシニア "あら、今から山頂?やめときなさい危ないからー!行けるところまでにしなさいねー"

.....

その後も様々な下山客の方に類似する言葉をかけ続けられ、あからさまにに士気が下がり始める我々。

システム "あのぉ...下山してくる方みなさん、戻れとばかり言ってきますけどぉ....
えぇ~...これ大丈夫ですよねぇえ?"

青き初期衝動は身を潜め、少しずつ弱音を吐きはじめるシステム。

モラトリアム "ああ?びびってんじゃねえ!あいつ等はウソをついている。ああ言う奴等は俺達に絶景を見られたくないからなぁ!!!奴等は隠してるんだ!この先にある何かをな!!!"

都市伝説の様な発言を繰り返し始めるモラトリアム。

"まあ大丈夫さ!とにかくガンガン登ろう!"

なんの面白みもない当たり前の発言のみ連呼し続ける自称リーダー僕。

とにかく、前進する。

それからしばらくして、システムが喉の渇きを訴え始めた。

システム "あぁ喉渇きましたねぇ。そう言えばお二人のどちらか何か飲み物ってありますかぁ?あーし車に忘れて来てしまった様で、よかったら分けてくれませんかぁ?"

モラトリアム "あれ、そういや俺も持ってねぇや。やべー、確かに喉渇いたな。"

僕 "あ、俺もないや"

システム "えぇーどうしましょう。あーし本当に、喉渇きましたよぉぉ...えぇー.."

モラトリアム "うるせぇな!!!みんな渇いてんだよ!!!つーかさぁ、お前、あーしって言うな!"

僕 "やべえなー。耐えるしかないなー。"

最強の布陣の連携も少しずつ乱れ始める。
試されている。これが、登山か。
そんな事を考えながら重い空気を引き摺り進み続けると男女二人組の下山客が。

ペア "あれー今からどこまでですかー?"

やれやれもう聞きあきたよこのくだりは。また叱咤されるに決まっていると考えた僕は、適当に

あ、その辺で写真を撮って戻るんですよー。 

そう答えた。

するとペアが

ペア "あ!ですよね。ここ、まだ4分の1位ですからねー。では、写真のスポットまで、お気をつけてー"

その発言を聞いたシステムの顔が、比喩ではなく物理的にしっかりと青ざめはじめていた。それはそれはもう、本当に、"ターコイズブルー"だった。

システム "よよよ、4分のいちぃぃい??? えぇ...こーたさん。さっきおそらく半分以上来たぞー!もうすぐだ頑張れー!なんて言ってましたよねぇぇ...。あれ違ったんですかー。てか、あーしのデータではブツブツ...."

モラトリアム "お前さっきからうるせえんだよ!つーか体力に自信あるから任せてっつってたじゃねえか!なんの自信だったんんんんぁあ!??? つーかあいつ等はウソをついている!ここはもう半分以上来てっからぁぁあ!!!"

僕 "まあ仕方ないさ!とりあえず頑張って登りましょう!"

小言だらけの システム。

怒りの都市伝説発狂 モラトリアム

当たり前の事しか言えないノージョークマン 僕

もはや最強布陣の乗った桴はブクブクと転覆しかけていた、そしてその数分後、転覆しかけていた桴はシステムの一言により、見事転覆するのであった

そこから少し進んだ先のひらけた岩場で休憩を挟むと、突然ふいに、システムから発せられた言葉が空気を切り裂いた。

システム "あのぉ...あーし、降ります。山頂まで登れはすると思うんですけど、そこから下山出来る気がしないんですよねぇぇ...だから。あのぉ、降ります!"

...色々と突っ込みたい気持ちはあったけれど、日没までの時間の制限もあるしハイペースで登らなくてはならない事もありこのままシステムを連れていくと登頂失敗の恐れもあった。だから僕とモラトリアムは

僕&モラトリアム "そうか。わかった気をつけて"

あ、うんの呼吸で彼を見送ったのだった。

その後、下山出来る事に安堵したシステムは、チーターの怨霊にでも取り憑かれているかのような足取りで軽快に山をかけ降りていった。

モラトリアム "え...なんだあいつ..."

僕 "なんだろう..."

と、ここから二人になった我々は急ピッチで山頂を目指さなければならない。だが道程はまだ遠い、果たして我々は山頂へたどり着けるのだろうか?
彼の不在が、二人の心を縮小させていった。

二人での登頂を再開すると、そんな心とは裏腹に、僕らは驚くほど軽快なペースを掴み、気がつけばあっと言う間に山頂に到着したのであった。
山の頂で確信したのは、どうやらあいつは、僕らのお荷物であったと言うことである。



山頂に辿り着き、なんとなくぼんやりと雲海を眺めているとモラトリアムが言った。

モラトリアム "さて、山頂にも辿り着けた事だし十分に景色も堪能できたな!システムが一人で待っているのは可哀想だ。こーた、さっさと降りようか。"

なんていい男であろう。あれだけ叱咤していた人間を彼は心配していたのである。

だが僕はまだ下山したくなかった。
なぜか。シンプルにまだ山頂の感じを味わいたかったから。そして、情けない事にまあまあまだ疲れていたので休みたかったのだ。
(ついでに言うとシステムの事も忘れていたすまん)

モラトリアム "実はさ、お茶ならあるんだよ、これ、少しだけだけど、飲む?飲むなら全部やるよ。システムも山頂までこれたら二人にあげようと思ってたんだよなー。"

そう言って彼は、小さなペットボトルを僕に差し出した。 

なんて事だ。彼はただ闇雲に都市伝説シャウトをしていたわけではなかったのだ。
皆を鼓舞し、山頂まで上がれたのなら隠し持っていたお茶を僕とシステムに与えよう。そして皆で喜びを分かち合おう。そんな風に考えていたのだ。

だのに(あえてなのにではなくだのにと言わせてもらおう)僕と言う人間は、唯唯自分が山頂に辿り着く事だけを考え登り続けていた(もう一度言うがシステムの事など微塵も頭には残っていなかったよすまん)

恥だ。僕はなんて恥ずかしい人間なのだ...
差し出されたお茶を見つめ僕はそう思った

そして

僕 "え...はい。ありがとうございます!いただきます!"

全身全霊でお茶を飲み干したのだ(やっぱダメだわ俺)

モラトリアムはそんな僕を見ながらゆったりと笑っていた。

そして "さて降りるか"

ただ一言そう言った。


僕は強く思った。

...いやモテろよ!(再度言わせてもらうが彼の口癖は"守るべきモノが見つからない" この意味不明なワードなのだがどうやら"彼女が欲しい"この動詞の言い換えらしい。そう、彼は...モテないのだ。冒頭でも話したがなかなかの男前で、ウィットもある。そしてなにより、山頂での行動でもわかると思うが強い優しさも兼ね備えているのだ...だが、異性を前にすると"石像と化しアホみたいにつまらなくなる"という致命的な疾患を患っていた。それがモラトリアムである)

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そこからの下山は恐ろしい程軽快な足取りで無事、パーキングまで戻ってきた。

モラトリアム "いやー戻ってきたなぁ!さてさてシステムが可哀想だ!まずは車に戻ろう!システムが俺達を大分心配しているだろうからさ!"

僕 "そうだね!さて戻りますかー!"

そして僕らは車に戻った。心配しているシステムを安心させてあげる為に。
僕らは意気揚々と車に戻りドアを開けると、システムが

システム "うわああぁあああ!!!なん、なんでぇー!あれ?お世話にならますぅう。あーしもお世話にぃ"

支離滅裂な呼応をぶつけてくるシステム

どうやらシステムは 

"寝ていた" 

なんにも心配などせず、ただただ寝ていたのだ。
そんで、アホみたいに寝ぼけていた。(彼の目が3に見えた。漫画でしか見たことがなかったけれど眠たい人間は本当に3になるんだと思った)
その後意識が覚醒してきた彼の言葉によると彼がずっと心配していたのは(夕食は何を食べるか?)であった...



モラトリアム "おまぇ!ふざっけんなよ!!!"



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モラトリアムが"ウルフ"になり

システムがボソボソとその場を小言で"ジャック"する

僕は相変わらずなんの面白みもない、当たり前の言葉で仲裁に入った



また最強の布陣に戻った僕らは、なんだかホッとして、なんとなく笑いあったのであった。

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たった1日の "運動の秋" ではありましたが
個人的には脳裏に強く焼き付く1日になった様な、そんな気がしています。
皆様も是非、各々の "~の秋" お楽しみください。

それでは皆様、またお会いしましょう

ぐっどばい