2024年11月30日土曜日

But, we are the not minimalist

こんにちは。
11月も下旬、あっと言う間に今年も残すところあと1ヶ月程となりました。

皆様、やり残した事がないように、最後の月、12月に向かうとしましょう。
今年一年間で得た思い出は来年まで持っていき、不要なモノは捨て去って、身も心も軽やかに来年に辿り着きたい。
そんな気持ちで今、現在を過ごしております。

...............................................

ふと僕は、たくさんの"モノ"に囲まれ生活している事に気がつきます。

青春時代、初すぎる僕を陰で支え続けてくれたギター。
友人があまりにも少ない僕の事をいつだって受け入れてくれた数々の書物。
読書に飽きた頃憂鬱を少し和らげてくれる大型のバイク。
なんとなく集めたスニーカー。
なんとなく集めたTシャツ
なんとなく集めたその他たくさんの物達...。

これは全て必要な物なのだろうか?
年末、この時期をきっかけに不要なものを捨て、必要な物だけに囲まれ生活する。それを実行するチャンスなのではないだろうか。

思い立つと衝動的に動いてしまう性分の僕は、そそくさと必要な物と不要だと思われるものを仕分けしはじめた...

バタバタとあっと言う間に山積みになる衣類等を段ボールにまとめていると、ある一人の友人との事を思い出す..。
あれは、いつだったろうか。5.6年前の今頃だっただろうか...。

..............................................................................



よう!最近どうしてる?よかったら家に遊びに来いよ!

小学校からの同級生である彼の名はM、12月の半ば頃
、早々に降り始めた雪が道路を濡らし凍てついている。そんなある日、彼は現れた。

彼の実家は裕福で、小学生の頃はゲームや漫画等、憧れのアイテムを多数所有していた為、何も持っていない弱者の一人である僕は、よく彼の家に遊びにいったものである。

彼の家は当時から"モノで溢れていた"
所謂 富裕層 の一人である。

そんな彼が今、こうして僕の店に参上し、そして家に遊びに来いと言う。
なんとなくの興味から、閉店後お邪魔することになった。

大人になった彼は、少しだけ高めの背丈にスラッと伸びた手足。薄いブルーのYシャツに濃紺のスラックスにローファー。雪がちらついていると言う事実を無視するかの様にアウター等は着用していない。
そんな良く言えば"シンプル"悪く言えば"簡素"で面白味のない。だが上着は着ない。
そんな少し奇妙な出で立ちで現れたのだった。

だがその彼の長い手足がシンプルな衣類に収納されたその様は、なかなかに格好の良いものになっていた。

彼は今でも実家住まいらしく僕はそこに案内された。

M. 久しぶりだろー?よく来てたよな、俺んち?どうぞ、部屋は変わらず二階だぜ。

お邪魔します。

彼の後を追い、2階の部屋へと向かう。

M. どーぞ。

彼が部屋の扉を開けると予想もしていない光景が視野を覆った。

およそ10畳程の部屋には 真っ白な壁紙がありシンプルな薄いブルーのカーテン。部屋の中央には小さなローテーブルがぽつねんと置いてある。 

以上

そう。 彼の部屋もまた  "シンプル"  だった。



M. 驚いたか? 実はさ、俺 あれなんだよ
んと、あー  まあ、 

砕けた愛嬌のある笑顔からキリっとしたスマートな表情に切り替えた彼は

"ミニマリスト" なんだ

そう言った。

幼い頃の彼の部屋はきっちりと整頓はされているがたくさんのおもちゃやゲーム、漫画本等々バラエティ豊かなたくさんの"モノ"が所狭しと納められており今のこの部屋とは対照的な部屋であった、その過去の記憶によって僕がこの場所の情報を処理するのには少し時間がかかった。

どうやら彼は、やがて大人になる成長過程で"モノ"に囲まれている状態にアレルギーを感じる様になってしまったらしい。

片側の口角をクィッとあげ、片方の眉も同時に上げた表情(腹立つ顔だなおい)を作った彼は

M. どうだ?余計に物を増やすって言う事はそれを守らなければいけないって言うストレスも同時に増やすって事なんだぜ?
だから今の俺の部屋は まぁ こんな感じ?

彼の言っている事はまあ正しい事ではあるのだろう。
だがその喋り方は本当にやめてほしいなーと、そう思っていた。
あとついでにその表情本当にやめてほしいなーとも思っていた。

その後も如何に人は余計なモノを持っているのか、そして持ちたがるのか、如何にソレを処分するのが正しい事なのかを恍惚と語り続けていた。
その様はどこか、名もなきカルト団体のトップに洗脳された信者にも見える程だった。

当時の僕にとっては全く興味のない話ではあったのだが、彼の変わり果てた思想を語る様にはある種の力があり恐怖すら感じるほどの説得力もあった。

なんとなく納得し、手土産に買った菓子袋をローテーブルに置くと彼が

M. おいおいおい~!ダメなんだわ~!
ここにモノおいちゃ~!

え?でもテーブルじゃ..

M. いやいやいや~ 視覚的に変わるからぁ~
てかモノ増やしたくないんだわぁ~

いや、これお菓子だから食べると無くなるんじゃ。一緒に食べようかと思って買ってきたんだけど?

M. いやだからこの部屋ではNGなんだわ~
あ、でも食べないわけじゃないよモチロン!とりあえず外で食べよっか!ありがとなぁ~

そう言って寒空の下、彼の自宅前の道路の隅、外壁をテーブルに立食スタイルでお菓子を食べ始めるぼくら(ちなみにバウムクーヘンだ、なにしてんだこれ)

その後もやっぱシンプルっしょ~
ミニマリズムっしょ~

と語り続けていたカルト教団幹部にしか見えなくなってきた彼の話しに辟易してきた僕は、再度彼の家に戻ることはなく帰路についたのであった。

その後、彼には会っていない...

..........................................................................

と、ふと彼の事を思い出した僕は、仕分け作業をしていた手を一旦止めてMに会いにいこうかと思い立った。

彼の話を半ば軽蔑して聞いていた当時の僕はもういない。今なら彼の話に同意し共感しながら有意義な時間を過ごせるのではないだろうか。そう思ったからだ。

彼に連絡すると早々に返信があった。

M. おう久しぶりぃ~!どうぞー!おいでおいで!

返信を確認しその後彼の家に到着した。

チャイムを鳴らすと早々にMが笑顔で僕を迎え入れる。

M. おー待ってたぞー!どうした?珍しいなー!まあ入れよぉ!

お邪魔します。

彼の部屋は2階。
彼の部屋には"モノ"がない。あるのは小さなローテーブルのみ。そしてそこにはお土産等も持ち込んではいけない。

なぜなら彼は "真のミニマリスト" であるから。

ガチャ

部屋の扉を開けると 想像していない世界がそこには広がっていた。

たくさんのゲームや本、たくさんの衣類、でかいテーブルにチェア、その目の前にはTV。
部屋の隅にはムダにでかいソファすら置いてある。
ついでにネコと大きめのリク亀もいるわなんだよココ。



え、あれ?Mって ミニマリストとか言ってなかったっけ?実は俺も物が多すぎるなーと思い立ってさ、参考にしようかなーなんて、それで今日お邪魔したんだけど。

Mは 例の表情で(片方の口角を上げ片方の眉を同時に上げた様)答えた





あ~  やめたわ






僕は帰宅後、ダンボールに入った衣類をまたクローゼットに戻した。

.................................................................



モノが捨てられない。
それで困っている方、たくさんいらっしゃるでしょう。が、もしかするとそれは捨てなくてもいいモノなのかもしれません。

そんな思いに至った年末の今。

結局 "なにが正しいのか"

そんなものはどこにもなく 自分の中にのみ存在しているのかもしれません。

と、何を書いてるのかもはやわからなくなってきましたのでこの辺で。

ラスト1ヶ月。大掃除やらなんやらの手を一旦止めたくなった時、是非是非コーヒーでも飲みにお立ち寄りください。

それでは、さよーなら。